住居者の属性を「選ばせていただく」という考え方
業界内において、東京都では“家賃6万円”が入居者の属性を分ける基準の一つだといわれています。あくまで一つの目安としてですが、家賃が6万円を超えると、一定以上の生活水準の方が入居するようになるのです。
当初の家賃は6万円を超えていたものの、諸事情で価格を下げていくケースもあるはずです。空室のままにするよりはと、家賃設定を下げて入居者を集めるという判断をしてしまう方も多いのではないでしょうか。しかし前述の通り、家賃を下げすぎてしまうと入居者の属性が変わり、それに伴うトラブルが発生するリスクが高まります。そのため、物件の家賃を決めるときは、物件の特性と入居者の属性を考える必要があるのです。
入居者の属性が物件運営を危うくした事例をご紹介します。
Cさんは、築30年のアパートを一棟買いました。家賃は5万9000円です。そのアパートの入居者の中に1人だけ、定職についていない方がいました。騒音などのクレームがあったわけではありませんが、その方の両隣に入居した方がなぜか入居後間もなく退去してしまいます。入居後すぐの退去が続き、10室のうち常に2室が空室でした。
その方自身は家賃を滞納しているわけではありませんが、両隣の入居者が定着しないのは、オーナーにとって大問題です。とはいえ家賃を支払っていただいている以上、借地借家法に守られており、退去勧告することができません。その方の退去を待つことしかできなかったのです。
もちろん家賃設定が全てとは言い切れませんが、「家賃設定によって入居者を選定させていただく」という考え方もあるのです。
家賃滞納が続く部屋よりも空室の方が良い理由
毎月月末までに支払う約束になっている家賃を、翌月になってから支払う入居者がいます。1カ月にも満たない遅れですが、家賃滞納の理由は、給料の支給日と家賃の支払いサイクルが合っていないなどの単純なことであるケースが大半です。「多少遅れてでも最終的に支払ってもらえるならOK」と問題視しないオーナーもいますが、契約時に取り決めた一つのルールを守っていないことは動かしがたい事実です。家賃支払いがやや遅れる、ゴミ出しのルールを守らないなどの細かなルール違反を見逃すと、やがて大きなルール違反につながる可能性もあります。「このオーナーは小さなルール違反にも注意を払っている」と思わせることも大切です。
一般的に、3~6カ月の家賃滞納で訴訟手続きに入ります。しかし、家賃滞納常習犯と戦っても、こちらが疲弊してしまうばかりで、かえって負担が大きくなります。状況にもよりますが、一刻も早く退去してもらい、優良な入居者に入ってもらった方がいいという考え方もあります。トラブルメーカーの入居者に居座られるくらいであれば、いっそ空室の方が対処しようがあるかもしれません。
「なんとか空室を埋めたい」という思いから、オーナーはついつい入居のハードルが低く設定してしまうものです。しかし、一度立ち止まって考えてみてください。
トラブルを解決するよりも、トラブルを避けることの方が簡単です。トラブルを避けるために最も重要なのは、物件の入居者の属性を見極めて、優良な入居者を獲得することです。家賃設定については、周辺の相場を把握している賃貸管理会社に相談し、メリットやデメリットを熟考した上で決定しましょう。





