物件に実際以上の価値を見出す“期待”
不動産投資の失敗要因となる過度な期待について、海外投資家の例から考えてみましょう。
海外の投資家の中には、何らかのきっかけで突発的に日本の物件に着目する方がいます。たとえば、2020年に東京オリンピックが開催されることが決定した途端、東京の物件に関心を持つ投資家をイメージするとわかりやすいでしょう。
コンスタントに東京の物件を運用している投資家と比較すると、彼らの物件への期待は高くなりがちです。物件を購入するにあたり、相場以上の価格を提示されたとしても、期待を込めて「日本の物件ならこのくらいの価格でも不思議ではない」と判断をしてしまうのです。世界的に見て日本の物件は安価で利回りが良いことも、判断を誤らせる要因となっています。日本国内の物件で比較するのではなく、香港やシンガポールといった別のアジア圏の物件との比較をしてしまうのです。
このように、「この地域の物件なら」「このタイプの不動産ならきっと」というイメージから過度に期待してしまい、その期待が実際の価値と大きく乖離した場合、投資は失敗となります。
過度な期待を持って物件を購入してしまっている投資家は、海外在住者に限らず、実は驚くほど多いのです。オリンピック、再開発、大手企業の移転計画なども、過度に期待して物件を買ってしまいやすい要因です。あまりに期待しすぎると、その物件が通常の相場より高めの価格設定であったとしても購入を決めてしまうことになります。
海外投資家の“期待”に振り回されてしまったAさんのケース
過度な期待に振り回されてしまった投資家の例を紹介しましょう。
東京在住のAさんは麻布十番駅から徒歩10分、築10年のマンションを7000万円で購入しました。購入してしばらく経ったころ、Aさんが購入した部屋の真上の同じ条件の部屋が半年前に1億2000万円で海外投資家に売却されたと聞き、非常に驚いたそうです。7000万円で購入したものが1億2000万円で売却できるならと、Aさんも物件を売りに出しました。しかし、いつまで経っても買い手は現れませんでした。
Aさんが話を聞いて行動に移すまでの半年の間に中国の情勢が変わり、その影響で相場が変動したことで、海外投資家の熱が日本から引いてしまったのです。
今回、7000万円の物件が高値で売れた理由は、その価格が本当の相場だったからではなく、海外の投資家の“期待”によるものだったのではないかと予想されます。
物件を購入する際も売却する際も、本来の相場を見極めた上で、過度に期待していないかを考えなければならないのです。
物件価格の見極めに、絶対的な基準やマニュアルは存在しません。過度な期待のリスクを意識しつつ、相場をイメージした上で判断しやすい物件を選ぶ、あるいは、相場が悪くなったとしても売却した際には利益が出るだろうという価格を予測し、期待しすぎない慎重な判断を心がけましょう。





